天文学や宇宙が好きであったり、興味のあるという方の中でも、銀河や星団・星雲なんかは非常に魅力的なのではないでしょうか?
ビジュアル性もありますし、何せ神秘性というか未知なものがつまった感じがして、ついつい詳しく知りたくなってきます。最初は写真集だけでも良かったものが、そのうち「どうやってできたのか」「どういう構造をしているのか」という疑問を解決したくなってしまいます。
しかし銀河に重きを置いて書かれた本は意外と少なかったりします。書店に出向いて棚を眺めてみると、天文学や宇宙に関する本はそれなりに並んでいるというのに、「銀河」とタイトルに書かれている本はあまりありません。
見つけられたとしても、専門的すぎてとても読めたような本ではなかったり…
そこで今回、あまり詳しくない方でもライトに読むことが出来る「銀河物理学入門」という本を紹介します。
ブルーバックス 祖父江義明 銀河物理学入門
- 本名 銀河物理学入門
- 著者 祖父江義明
- 刊行日 2008年12月20日
- ISBN 9784062574815
- 体裁 新書
銀河について軽く触れてみたい方にもおすすめ
- 銀河に興味がある方
- 天文学に興味がある方
- なんとなく銀河について知りたい方
- なんとなく宇宙について知りたい方
「銀河物理学入門」というタイトルではありますが、物理学や数学の知識はさほど必要ではありません。序盤で軽く登場しますが、軽い計算だけですし、飛ばして読んでも後の方には差し支えなかったので安心してください。
天文学や宇宙についてなんとなく興味があるな~という方でも楽しめる本になっていました。
その中でも「銀河が好きで色々知りたいけど、ライトに軽く学んでみたい」という方にはうってつけだと思います。
単行本や専門書で挫折してしまった方にもおすすめ
読もうと思ったきっかけ
私は現在大学生で、ゆくゆくは銀河について研究してみたいなと思っています。
そんなわけで大学図書館で銀河天文学の専門書を借りてみたのですが、私にはまだ早かったようで挫折してしまいました。そんな中偶然見つけたのがこの「銀河物理学入門」です。
ページも200ないくらいのボリュームだったのと、適宜イラストや写真が入っている上、さほど数学や物理学の知識を動員しているようではなかったということで読むに至りました。
目次
- 第1章 銀河を知るということ
- 第2章 銀河の骨格
- 第3章 天の川銀河の立体地図
- 第4章 多様な銀河と腕の構造
- 第5章 活動する銀河
- 第6章 銀河規模の星形成
- 第7章 銀河から見た宇宙
- 第8章 宇宙の果てを見た20世紀の天文学
この本の概要
銀河の構造や種類から、宇宙の進化まで解説されています。
最初は観測の方法について触れられており簡単な物理学の知識や計算が登場します。
ここを読まなくてもあとの話にはついて行けますが、高校の三角比(サイン コサイン タンジェント)を習ったことのある方は、「こんな使い方ができるんだ!!」と感動することでしょう。
宇宙という大規模な空間・物体をも対象に出来てしまうのが、数学という道具です。
感想
とても読みやすい
これまで読んできた入門と謳うような本は、だいたい入門とは言いがたい難易度(と少なくとも自分は感じましたの)で読み切ることはあまりありませんでした。
しかしこの本は「サクサク」とまではいきませんが、読みやすく内容が入ってくるような本でした。
途中から専門的な話に入っていきます。一度で理解できる、というわけではありませんが難解ではありませんので、何度か見返してみると理解できる位の内容です。
章分けや小見出しが多めで再読しやすい
私は付箋を活用して読書をしているのですが、そのとき章分けが少なかったりすると付箋を貼るときどこに貼ろうか迷うことがあります。
というのも、例えば「銀河の構造」という章の中に「ダークマター」の記述があったとします。そしてそのうちの「ダークマターの性質」が気になった、かつその場所が1段落や2段落どころではなくページをまたぐくらいの範囲だったとします。
付箋は段落単位だとうまい具合に役に立ってくれますが、ある程度の範囲の広さになるとどこまでが重要・気になったのかわからなくなってしまうため、力を発揮できなくなっていまいます。
そのとき章分けや小見出しなどがしっかりなされていて、「銀河の構造」という章の中に「ダークマターの性質」という小見出しがあればそこに付箋を貼って解決できるというわけです。
こういったレイアウトだとのちのち読み返すのが楽なので、一度読んでわからなかった場合でも再読したときに理解できたりするので、理解の深まりやすい本だと言えます。
また小見出しなどがあると、今何の話をしているのか、ということがわかりやすいので話の流れについて行きやすく、結果読みやすさにつながります。
教養新書などは一度だけではなく、何度か読み返すことで自分のものにできるものが多いので、再読の壁が低い本を選ぶというのも大事ですね。
感想(ここからおまけ)
誰だって一度は宇宙(そら)に興味を持っているはず
内容についてツラツラと書こうと思ったのですが、読む前から私が思っていたことを書きたいなと思います。
私が天文学に興味を持ったのは、うろ覚えではありますが、小学校の時に自宅で古い正座の図鑑を見つけてそれを読み始めたときと記憶しています。
この図鑑は「星座の図鑑」というだけあって、宇宙や天文学というよりも星座一つ一つの説明や星座にまつわる神話について書かれていました。
ちょうど同じ時期に、星座の位置は時間によってどう変わるか、という小学校の宿題がありまして、夜空を見上げる機会が増えました。当時の自分は怖がりで夜は滅多に外に出ないし、外を見るのすら怖がっていました。
それが夜空を見るようになってから考えが変わりました。生まれも育ちも田んぼに囲まれたような田舎だったため、星はきれいに見られたのです。本当にきれいで時間が経つのも忘れるくらいでした。
やや話は変わりますが、小学校の授業で日時計のようなものをグランドや校庭につくり影の位置を記録。時間が経ったら再び陰の位置を記録し、その位置が移動していることを確認する。なんで移動したか→太陽が移動したからである。という授業がありました。
しかしその授業で「なぜ陰の位置が変わったのか?」という問いに対して「地球が自転しているから」という回答を書く生徒が一定数いました。SNSでも親御さんが「回答を×だとされた」と投稿して、(SNS上で)話題になったこともありました。
これは面白いものだなと思いました。その学年では地球の自転なんて話は授業で習わないはずです(先生の小話で出たとかは別として)。なのに地球が自転しているという話を知っているのです。ほかにも
- 地球が公転している
- ビッグバンという大爆発的なことがあった
- 宇宙は膨張している
なんてことも知っている生徒もいるようです。当然これらも小学校の課程では習いません。
となるとこれらの知識は自分で調達したと考えてしまうのですが、なんでどうその知識を調達したかというと、おそらく私のように図鑑か何かを見たのでしょう。
ということは、宇宙に興味があったということです。
数学であきらめてしまう
大学の友達にも「小さい頃好きだった」とか「(今でも)そういう話好きなんだよね」と行ってくれる人がいます。話が弾むので楽しいです。
私が「天体物理学」というタイトルで、表紙にきれいな渦巻き銀河が描かれている本を持っていたとき、それに食らいついてきた友達がいました。「そういうの良いよね」と。
おそらくきれいな天体写真集みたいなのを想像したのでしょうが、残念ながら天体「物理学」というだけあって、数式やら図やグラフがつらつらと書かれている本です。
私もほとんど内容を理解できなかったのですが、一部読み進められる箇所がありそれが面白くて読んでた、という具合の理由で持ってました。
その数式を目にして「あ、ちょっと違った。数学は苦手なんだよね。」といって私に本を返しました。
気持ちは大いにわかるんですよ。考えるレベルによりますが、やはり数学を考えるのは思考力なんかが必要ですし疲れます。パラパラッと楽しく読み進めたいのに、わざわざ考える力を擁する必要のある数学と戦いたくないんです。
ただ天文学や宇宙は物理法則によって説明される、つまり数学で説明をつけられるような学問なので数学力があるだけで、ちょっと踏み込んだ話にもついていけるわけです。
「天文学的な」という数や量にたいする比喩があるくらいで、天文学では想像よりも膨大な数値を扱うようです。そのとき数や数式に慣れているだけでイメージがつかめたり、その先の話に進めたり、見通しが良くなったりするのです。
数学ができることで広くものを見られると、言いたいです。
数学の壁をこえる第一歩
ただ、数式を使って説いてくれる天文学や宇宙の本って、だいたい難易度が高いです。
私の読書量が足りないだけかもしれませんが、天文学や宇宙の本って「誰でも読める」か「数学も物理もできます」っていう2種類が多い気がします。
その中間が少ない気がします。
徐々にステップアップして、より専門的な話に入っていくというのが理想的なので、ちょうどいい間の本が欲しいですよね。
その丁度良い本というのが、今回紹介した「銀河物理学入門」だと思います。
数学に触れている時間も短いし、内容も簡単なものしか扱っていませんが、こういうのから触れていくことでより一層天文学や宇宙の話を面白く感じられると思います。
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