現代を支える科学。ところでそもそも科学って何なんでしょう。
よく「エセ科学」なんて言葉を聞きますが、よくよく考えると何が科学で、何が科学ではないのか説明することはできますか?
最近では、ワクチン、感染率、温暖化…とこれまで以上に科学を身近に感じることが多くなりました。そんな生活を送っている以上科学について知識を持っていた方が良いというのは言うまでもないでしょう。
そこで今回は岩波新書さんより、中谷宇吉郎先生の書かれた『科学の方法』を紹介します。
『科学の方法』中谷宇吉郎
初版の出版年にして1958年という古い本ですが、現在でも購入可能です。
私の持っているので、「2007年 第61刷」と書かれているくらいです。
初版から60年以上経っても読み続けられているいい書物です。
読んだきっかけ・おすすめする人
この本を読んだきっかけ
私は現役理系大学生なのですが、「科学のなんたるか」をよく理解せずに講義を受けていました。「科学のなんたるか」を意識するようになったのが、物理学実験のときです。
測定した値はどこまで信用して良いのか。
という話を受けて、物理学を専攻している身でありながら重要な部分を押さえていなかったのだなと痛感しました。これをきっかけに、そもそも科学とは何なのかということに興味を持つようになり、この本を取るに至りました。
この本をおすすめしたい人
正直全員におすすめしたい
この本は正直「全員におすすめしたい」と思います。
多くの人は科学に信頼を寄せていると思います。
大学で人文科学・自然科学を学んでいる方を始め、専門的な知識を持っていない方でも、内容はよくわからなくても科学者やその道の専門家を信頼していることでしょう。
しかし世の中それを逆手にとっていわゆる「疑似科学」や「トンデモ科学」を用いて、わる~くもうけている人もいます。一見するとそれらしく聞こえる話が、実はまっかな嘘で、科学的根拠なんて一切なかった、というものですね。
また、SNSでは専門家や科学者の主張を否定したり難癖をつけている方も見受けられます[1]それが悪いことだとは思っていません。。そういうのを目撃すると何が正しいのか、そもそも科学って正しいのかと疑心暗鬼になってしまうでしょう。
それがきっかけで新興宗教にはまってしまう前に、いったん科学を見つめてみませんか?
エセ科学を見抜ける!とは言いませんが、これまでにはない見方・考え方が身につきます。
そういう意味でこの本は皆さんに是非読んでもらいたいなと思います。
科学とは何か
科学というものは、あることをいう場合に、それがほんとうか、ほんとうではないかをいう学問である。
中谷宇吉郎 『科学の方法』2ページ
これは本書の最初の最初に書かれている内容です。
科学の対象
小中学校から理系キャラだった方なら一度はこんなことを言われたことがあるのではないでしょうか
幽霊がいないって科学的に説明してよ
と。
ここでは「悪魔の証明」については立ち入りませんが、これは科学として捉えるというのはお門違いなものなのです。(もちろん心霊写真だと言われていた画像がシミュラクラ現象だったというオチで、これは科学的な話です。)
というのも科学が対象にしているのは「再現可能な事象」であるからです。
いついつここでお化けが出ました~
っていうのを、他の人か同じ条件でのぞんでも再現されませんね
これについて大変有名な事件(?)として「STAP細胞」があります。
報道では改ざんだとかがメインに取り上げられがちでしたが、注目したいのは「再現できなかった」ということなのです。[2]「STAP細胞 再現」で検索するとすぐ出てきます。
科学に数学がつきまとうわけ
科学といえば必ず登場するのが数学ですね。
この本は主に自然科学を対象としていますが、数学が必要となることに関しては、文系分野である社会科学(特に経済学や統計学を必要とする分野)でも共通していますね。
なぜこうも科学には数学が必要となるのでしょう。
それは、対象の事柄を述べるに当たって「測定」をするからです。
この測定には「数」を用いるのが適当です。なぜなら「数」を使うことで「何倍なのか」「どのくらい差があるか」という比較をすることが出来るからです。
数学を用いることで定量性について言及しやすくなります。
この本では「定性的と定量的」という章がもうけられています。
科学について知りたくなりましたか?
現代を支える科学ですが、意外とその本質は知らないものです。
この本を読むことで「えせ科学にだまされなくなる」とは言いませんが、これまでになかった見方や考え方、世界が見えてきます。
今回紹介したのはほんの一部ですので、気になった方は是非手に取って読んでみてください。
コメント