【大学物理】初学者・物理学苦手な方向け テキスト・参考書の選び方

図書室

世の中には様々な物理学のテキストや参考書があります。
それと同じくらいに、テキストや参考書をおすすめするような記事もあります。

大学に入り、物理学を志すもどのように勉強していいのかどのような本を読んでいけばいいのか、まったくわからない新入生は多いことと思います。私は高校は物理選択であったものの、入学当初は、大学物理は一風変わっていてどのように取り組むべきかわかりませんでした。

そこでこの記事では「物理学の苦手な物理学専攻」の私が、「物理学初学者もしくは物理が苦手な物理学徒」に向けた、物理学の本の選び方やおすすめの本を紹介しようと思ます。

物理は難しい

私は物理学コースで宇宙物理学を専攻していますが、毎度思うのが「物理学って難しい」ということです。問題が解けるようになっても、その本質を理解するというのはもっと難しいものですし、さらにそれを応用していくというのも大変なことです。

物理学の世界は数学を用いて表現されています。
数や数式を用いて自然界を表そう!というわけですね。

そのため物理をやるには数学も出来なければいけません。しかも、その数学を扱った上でその数式からどんなことが読み取れるのかという力を持ち合わせていないといけません。物理学のこの特徴は、学問の中でも数少ない部類に入ると思います。

このサイトでも『読書術』なる技術について書かれた本の書評・感想の記事を投稿していますが、速読に関する内容というのは、学問に対してはあまり役に立たないと思います。単に字面を頭に入れるなら役に立つかもしれませんが、内容を理解するとなると別物です。

新書本ですが、読書術に関する興味深い内容が多いです。
読書術以外にも読書ノートの取り方や、本の整理方法など内容は多岐にわたっています。

私の読書方法の基盤になったとも言える1冊です。
読みやすいレイアウトになっているので内容がスラスラ入ってきます。

速読や読書ノートの取り方はこの本から吸収しました。

本の選び方①最初は簡単なので大丈夫

初学者や物理が苦手な物理学徒がまず最初に手にしたい1冊ですが、簡単・易しい本からでも大丈夫です。

大学教員のすすめる本や、ネットでおすすめされている人気の本はたしかに質の良いラインナップとなっていますが、それを初学者や物理の苦手な物理学徒が手にしてしまうと思うようにページが進まない事態になりかねません。

「大学生になったら○○の本を精読した方がいい」と言う人もいたりしますが、無理に難易度の高い本に手を出すことはないので安心してください。

私は読んだことがないのですが、『マンガでわかる』シリーズも参考になるらしいです。
力学から流体力学、量子力学、相対性理論と幅広くカバーされています。

本の選び方②次もしくは並行して標準的なテキストを

ある程度物理がどんなものかわかってきたら、もしくは簡単な本だけでは不安だという方は標準的なテキストに取り組んでみてもいいでしょう。私は複数冊並行して勉強することが多いです。

標準的なテキストとしては岩波書店の「物理入門コース」などがあげられます。
易しいテキストでは、例えば電磁気学で電磁波のパートが簡易的にしか触れられてなかったり、公式の導出が省かれていたりします。そこで標準的なテキストを用いてさらに学習を進めていく、という具合にするのです。

物理入門コースは初等力学から、弾性体・流体、相対性理論などの分野までカバーしています。さらに物理数学も取り扱っている上に、演習も用意されています。インプットした内容を演習の方でアウトプットするとより効果的に物理学を学ぶことが出来ますよ。

私の言うこの標準的なテキストというのは、テキスト・参考書の中でもっとも数が多いと思います。今回は例として「物理入門コース」を挙げましたが、ほかにも評判の良い本は多くありますので図書館や書店で是非見てみてください。

本の選び方③一通り学んだら名著と呼ばれる本に手を出してみる

一通り学び終え、意欲があるのであればいわぬる「名著」を読んでみるといいでしょう。

例えば力学なら「ランダウ」や『ゴールドスタイン』。電磁気学なら『理論電磁気学』や「ジャクソン電磁気学」なんかがあげられます。

番外:複数の本に手を出すのは大いにあり

高校までだと「複数の本にかじりつくのではなく、1冊の本を読み込む」というのが、セオリーというか正義とされてきました。当時の自分もその性分だったもので、教科書と「物理のエッセンス」を軸に勉強していました。

しかし大学になってからはそうもいかなくなるものです。

高校までは「ここまでを教えなさい」というお国の定めた下で授業がなされますし、大学入試もその範囲から出題されます。つまり、ざっくり行ってしまえばどの参考書も教科書も、書いてることは同じだったということになります。

大学はその学部の教員が講義内容を決めていることがほとんど[1]少なくとも自分の大学ではそうです。です。そのため「標準的とされているテキスト」には載っていない内容を取り扱うこともありますし、押さえておくべき内容を扱わないこともあります。(私の通う大学では後者パターンが多く、院試対策が大変です。)

それがテキストにも表れており、テキストによって書かれている内容があったりなかったりするのです。そのためどれか1冊だけに集中してしまうと、とりこぼしがあるかもしれないわけです。

「内容のとりこぼし」意外にも、複数のテキスト・参考書を読むことで「様々な考え方」や「ものの見方」というものが養われます。

初学者、物理が苦手な物理学徒におすすめなシリーズ

じゃあ具体的にはどんなテキストがいいの?と尾も持ったことでしょうし、私が個人的におすすめする本を紹介します。

ビジュアルアプローチ

予備校の教員が書いたテキストです。

高校の教科書のようなレイアウトになっており大変読みやすいです。
扱っている内容や数式は当然難しいのですが、オールカラーでイラストも豊富、適度な文字の大きさで行間もほどよく空いている、など読んでいてストレスになりにくいのが特徴です。

ただし網羅的ではなかったり、天下り的に式の証明がされていることがあるので注意です。

単位が取れる

こちらも大変易しくてとっつきやすいです。
見やすいレイアウトになっているので、読んでいてつかれにくいです。

ビジュアルアプローチよりも幅広い分野がおさえられており、微分方程式やフーリエ解析などの数学分野や量子化学などの化学分野の取り扱いもあります。

マセマ

マセマ出版からでている有名なシリーズですね。
現役大学生、既卒大学生でもお世話になったことのある方が多いのではないでしょうか。

マセマは細かい式変形なんかも丁寧に解説しているのが特徴
物理学で用いる数式の解説も、それ1つだけでパートを設けて解説してくれるので数学でのつまづきが少なくなります

力学では微積分、
電磁気学ではベクトル解析、
統計力学ではガンマ関数やガウス積分などなど。
物理学が不得意になる大きな原因は数学にあるので、数学を丁寧に解説してくれる本は初学者にはありがたいものです。

マセマシリーズは演習版もありますので、より力をつけたい方は演習の方も手に取ってみてはいかがでしょうか。

References

References
1 少なくとも自分の大学ではそうです。

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